烈志笑魚油 麺香房 三く(大阪・福島)- 遊び心満載のラーメン。おすすめは…
大阪駅からひと駅。福島は、ジャンルを問わずハイレベルな飲食店がひしめく、今、大阪で最もエネルギッシュな街だ。ラーメンも激戦区のこの界隈にあって、[三く(さんく)]は屈指の人気を誇っている。
日本料理の経験もある[三く]店主、山本さんが腕を振るうラーメンは、とにかく遊び心に溢れている。
スタンダードは、「かけラーメン」(下の写真)。
北海道・札幌ラーメンの歴史とともに語られる「西山製麺」、その縮れ麺を使った魚介系醤油ラーメン。香り立つ煮干が食欲をかき立たてる。バランスの取れた魚介の風味が味わえる一杯だ。煮干しがまるごと1本盛りつけられているのも、大胆で驚かされる。
つけ麺は2種類。下の写真が「全粒粉つけ麺」。
つけ汁は蓋付きで登場する。もちろん、蓋はつけ汁が冷めないためのもの。でもそれ以上に“蓋を開ける”という行為を挟むことが、つけ汁をいっそう魅力的に見せる仕掛けとなっている。
麺はうどんのような極太麺で、なにやら金粉のようなものがふりかけられている。これは「ふすま」という小麦粒の表皮らしい。
最後に締めの白米をつけ汁に入れて食べると、リゾットのようになり大満足。つけ汁の蓋を開けた瞬間から幕開けした“ラーメン懐石”は、こうしてフィナーレを迎える。
もうひとつのつけ麺が「つけ道産」(下の写真)。
こちらは北海道産の小麦を使った、ツヤツヤでコシのある平打ちストレート麺。もちろん締めのご飯付きで、最後の一滴まで愉しめる。個人的には五感をグイグイ刺激してくる「全粒粉つけ麺」の方が好みかな。
さて、こちらは「白壺ラーメン」(下の写真)。
白醤油と魚介の上品なラーメンだ。透明感のある清湯スープの上に、白ネギ、ほうれん草、チャーシュー、それに柚子が載っている。麺は全粒粉を練り込んだ中太麺。もちもちで歯応えもある。スープは、返しの白醤油のさっぱり感と甘味に、魚介の旨味、そしてほのかに香る柚子が絶妙なバランスで利いている。飲み干さんばかりの勢いでスープをすくっていると、丼の底から大豆が隠れキャラのように現れる(下の写真)。
[三く]のささやかな遊び心にすっかり感心していると・・・
「どうぞ~」と、お店から「コーヒーゼリー」のプレゼント。なんと!夜限定で、時計の針が39分(店名の「さんく」とかけてある)を示す時、席に座っている客だけに配られるというサプライズ・デザートだ。こういうのって楽しいし、嬉しい。
ところで、店名の[三く]には、お気づきのとおり「Thank you =感謝」という意味が込められている。その哲学を忠実に実践していて、[三く]はラーメンと同じくらい、いやひょっとするとそれ以上に、ホスピタリティが素晴らしい。何がどうって? わざわざ説明するのも野暮なので、行けば分かるさ!とだけ書いておく。
ちなみに[三く]を訪れるのなら行列を覚悟しよう。特に夜21時以降になると、上の写真のとおり、近くの居酒屋から出てきた“締めのラーメン”需要の人たちで大行列ができる。それを避けたいのなら、開店直後でもなく、締めの一杯でもない“ハーフタイム”、夜20時頃がおすすめだ。
下の写真は、食べ終わりに撮った福島の魅惑的なお店の数々。和洋中韓、立ち飲み、クラフトビール、日本酒バー、ワインバー・・・ありとあらゆる国・スタイルの店が立ち並ぶ。お酒好きなオトナの聖地のような場所だ。ラーメンの後の“締めの一杯”に、ぜひ。
Data
- メニュー
かけラーメン: ¥800
白壺ラーメン: ¥750
つけ麺(全粒粉):¥830
つけ麺(平麺道産):¥830 …他 - 住所
大阪府大阪市福島区福島2-6-5 - 最寄り駅
新福島(JR東西線)より徒歩3分
福島(JR大阪環状線)より徒歩5分
中之島(京阪電車中之島線)より徒歩7分 - 営業時間
11:39~14:39
18:39~23:39(月~土)
*第2・第4日曜休み
*日・祝は昼のみ営業 - Map
大阪府大阪市福島区福島2-6-5